カメラ・オブスキュラの像
マウリッツハイス美術館展に行ったら、ショップでカメラ・オブスキュラを「フェルメールのカメラ箱」として売っていた。ボール紙の簡易組み立てキット。小学校の工作をやっている気分で、30分ほどで組みあがった。
ピンホールではなく、ちゃんとレンズ(プラスチック)と鏡がある。レンズを通して入った光が鏡で屈折し、パラフィン紙のスクリーンに像を結ぶのを上から覗きこむ。レンズを前後させて、ピント合わせもできる。
16世紀以降、フェルメールはじめ多くの画家が使ったという。カメラ・オブスキュラによって正確な遠近法の絵を描くことができるようになった。それがヨーロッパのリアリズム絵画に与えた影響は大きい。
われわれも小学校高学年になると遠近法で絵を描くことが良しとされる教育を受けた。でも、いったん遠近法を知ってしまうと、今度は逆に目に映るものすべてが遠近法で見えてしまう。ゴッホには糸杉があんなに渦巻いて見えたように、北斎には波と富士山があんなに極端に見えたように、それぞれの人にそれぞれのリアルな見え方があるはず。それを忘れないようにしたい。
試してみると、それなりに像を結ぶ。庭の百日紅。ピントが甘いのは仕方ないけど、けっこう遊べるかもしれない。
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