琉球の紅型展
Colors and Shapes of the Ryukyu Dynasty
「紅型(びんがた) 琉球王朝のいろとかたち」展(~7月22日。六本木・サントリー美術館)を見てきた。
紅型は琉球王朝で王族など主に上層階級に用いられた衣装の染色技法。型紙を使い、顔料や染料で模様を染めてゆく。同じ模様が反復されることからくるデザイン的な美しさと鮮やかな色どりが素晴らしい。特に尚王家に伝わる数点の衣装(国宝)は華やか。一方、庶民階級が身につけた苧麻の紅型も、細かな小紋の模様と沖縄の海や空を思わせる藍や水色が粋だ。
鮮やかな黄色や赤などの顔料、染料は中国や東南アジアから来ている。松竹梅など日本的な模様も、鮮やかな色に染められるとどこか異国風になる。
30年以上前、雑誌の考古学特集で沖縄本島北部の今帰仁城(なきじんグスク)へ取材に行ったとき、発掘された安南(ベトナム)や中国の大量の貨幣や陶器片を見たことがある。その帰り道、那覇で紅型の藍地の暖簾を求め、ぼろぼろになるまで家で愛用した。そんなことを思い出しながら紅型を見ていると、日本と中国に両属し海洋貿易国家として栄えた琉球王朝が、近代以前は日本とは別の国であり別の文化を持っていたことを改めて認識させられる。
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