わが家の放射線量
さいたま市が放射線モニターを貸し出ししている。お隣さんと一緒に借りてきて、わが家を計ってみた。ちなみに文科省が集計している空間放射線量では、この日(3月14日)のさいたま市は0.051μSv(マイクロ・シーベルト)/h(地上1m)となっている。
計器は国産でHORIBAのPA-1000というやつ。掌にのる小さなもので、0.001μSvから計れる。計ったのは地上5センチと1メートル(以下の表で前の数値が地上5センチ、後ろが1メートル)。
門の前 0.080 0.080
生垣の脇 0.080 0.081
庭(クローバー) 0.080 0.058
雨樋の下 0.148 0.075
雨樋の下、雨水が集まるところの数値が高いのは、さまざまな報道で分かっていた。さいたま市では雨樋の下、樹木直下などで1μSV/h(地上5センチ)以上の数値が出るところを「局所的汚染」としているが、その基準値の1/7程度。
去年の秋、3カ所あるその雨樋の下の表土を数センチ入れ替え、庭のいちばん遠いところに埋めた。ここを「わが家のホットスポット」と呼んでいる。
わが家のホットスポット 0.314 0.077
うーん、かなり高い。去年3月、事故直後に首都圏にも放射性物質が流れた。そのとき集中的に汚染されたものだろう。ここには近づかないほうがよさそうだ。もっとも「局所的汚染」の基準値の半分以下。1メートル離れれば他と変わらない値になる(さいたま市も「1メートル離れれば放射線量は大幅に下がる」としている)。
畑 0.071 0.070
畑の数値が高ければ、夏野菜の種をまく前に表土を入れ替えようかと思っていた。でも表土には栄養分が集まっている。結果は、芝の代わりにクローバーを植えてある庭の数値より低い。どうするか。迷うところだ。
居間 0.062 0.059
キッチン 0.055 0.051
わが家はガラス戸が多く開放的な木造住宅なので、屋内でも外とあまり変わりない。
「わが家のホットスポット」と雨樋の下(地上5センチ)の数値を除けば、屋外の数値は一定の幅に収まっている。それほど精密な計器ではないから、細かな数値の差にこだわっても意味はない。誤差の範囲内と考えていいだろう。
ちなみに測定値から年間被曝量を出す式はこんな具合になっている。
年間被曝量(mSv)=[測定値μSv]×[8+a×16]×365÷1000
(aは屋内の低減係数で木造なら0.4。わが家の値からすると0.4は低すぎると思うが、それはひとまずおいて)
今回計った地上1メートル、19カ所の値の平均値0.075μSvをこの式に入れて計算すると、年間被曝量は0.39ミリ・シーベルト(mSv)となる(事故被曝だけでなく自然被曝も含む)。年間被曝量の目安とされている1mSvの半分以下だけれど、これ以外に食物から来る内部被曝もある。
わが家の空間放射線量(地上1メートル)は平均0.075μSV/hだけど、さいたま市が公表している同じ日の数値は0.051(地上1メートル)。この差はどう考えたらいいだろう。
さいたま市の数字は市内桜区の県衛生研究所で測定されている。さいたま市は大雑把に言えば海抜十数メートルの大宮台地と、そこから数メートル低い荒川流域の低地とからなる。わが家は大宮台地にあり、県衛生研究所は低地にある。とはいえ市内には山と呼べるようなものはなく、丘が散在する程度だ。わが家の回りにも放射性物質が吹きだまるような高低の差はない。とすれば、考えられるのは数メートルの海抜の差か、観測機器の誤差か。
いずれにしても、国が言う「年間1ミリ・シーベルト」という「基準値」以下ではあるけれど、改めて首都圏も放射線で汚染されていることを痛感する。今回の値ならばさほど心配することはないだろうけど、雨水が集まるところにホットスポットがあるかもしれないから要注意だ。
Comments
まあ、予想の範囲内だね。
ただ、絶対値よりも変化が重要なので、できれば個人でも入手して変化をチェックしていた方がいいと思う。
Posted by: 高味壽雄 | March 17, 2012 03:24 AM
そうだね。毎日の空間線量を見ていると、第一原発はまだまだ不安定。そもそも4号機の燃料プールなど、爆発や火災で劣化しているからもう一度大きな地震が来たらあぶないわけだし。目が離せません。
Posted by: 雄 | March 17, 2012 06:28 PM