岩手・宮城の旅(4) 久慈から八戸へ
a trip to Tohoku destroyed by the Tsunami(4)
久慈も津波に襲われたけれど、市街地は無事だったため犠牲者は多くなかった。死者4人、全壊家屋324棟。
「この町は2本の川に挟まれてるんだけど、合流点で津波が二手に分かれたのがよかったかもな。でも堤防があふれるまであと30センチで、もう少し高かったらここもやられてた」と宿のおやじさん。被害が大きかったのは市街地を出て石油備蓄基地のあたりだというので、そちらへ行ってみた。
ここには国の石油備蓄基地がある。備蓄施設自体は地下にあるので無事だったが、付属の建物に被害が出た。接岸していた船が建物に乗り上げたという。基地の前には、岸壁水路のブロックがころがっていた。
備蓄基地近くの造船所にも被害が出た。放置されたままの瓦礫のかたわら、盛り土で地盤を高くした上に新工場が建設されている。
市街地に戻り久慈川を渡ったところに久慈港がある。被害は大きくなかったようで、市場は普通に動いている。今の季節はイカ漁が盛ん。
港の近くには大きな郊外型ショッピング・センターができ、スーパー、家電量販店、本屋、レンタル・ビデオ、衣料品店、雑貨の店、レストランなどが入っている。毎日の買い物はこちらに来ることが多くなった、とタクシーの運転手氏。町の中心が港の新開地側に移動している。
対照的に、駅前はシャッター街になっている。その名も「駅前デパート」には、2階より上に店が入っていないようだ。広くて立派な駅前通りも閑散としていて、ぽつぽつとシャッターの下りた店がある。
バスを待つ間、駅前通りを歩いていて小さな陶磁器の店「ギャルリ・シエスタ」を見つけた。普段使いの洒落たマグカップや食器が置いてある。点数が少ないし、素人っぽいレイアウトだなと思ったら、まだ10月にオープンしたばかりだそうだ。
「地震で陶磁器が壊れた人が多いんで、好きだった器の店を始めたんですよ」と、店主の若いお母さん。店主がやっているブログを拝見すると、実家が津波で流されたとのこと(ご両親は無事だった)。その直後に息子さんが生まれ、今は「子育てしながら、のんびり営業」。地元の小久慈焼などの品揃えが間に合わず、年末までにはもっと充実させますという。
店主のセンスが滲み出る器のなかから、地元の若い陶芸家・泉田之也の中皿を買った。泉田は伝統的な小久慈焼の窯で修業して独立し、昨晩通った野田村で「のだ窯」を開いている。肌の黒い素焼きの器が特徴らしい。その黒い肌の半分に小久慈焼の飴釉をかけたもの。
JR八戸線は久慈駅から種市駅までが津波で不通になっている。午後0時13分発のJR代行バスに乗る。途中、陸中八木駅は海のすぐそばの駅で、駅舎が流され建設中だった。
小さな川を渡る橋梁が線路ごと流されている。陸中八木~宿戸間。
種市駅でバスを降り、午後1時39分発八戸行きの列車に乗り換え。
車窓風景。海岸線から離れ、海が見え隠れする高台を走る。
湾の向こうに工場や町並みが見えてきた。もうすぐ八戸だ。八戸から新幹線で仙台に出て、今日は仙台泊まり。
Comments
その節は、ご来店いただきありがとうございました。
その後、市民会館に場所を移し、本業だった飲食店をほそぼそやりながら器の販売をしております。
朝ドラあまちゃんでは、器を提供させていただき、貴重な体験をいたしました。
機会がありましたらまた、久慈市においでくださいませ。
SIESTA店主
Posted by: 日沢はづき | July 16, 2014 11:22 PM
お仕事されているとはなによりです。お子さんも大きくなったでしょうね。
お店で求めた皿は重宝していましたが、先日、縁が欠けてしまいました。たまたま金継ぎをやっている親戚がいるので、彼女に頼んで銀で継いでもらったところ、なかなかいい感じに仕上がりました。
久慈へ行く機会がありましたら寄らせていただきます。
Posted by: 雄 | July 18, 2014 01:17 PM