谷川晃一のセーター
Tanikawa Koichi exhibition
(「谷川晃一展」カタログから)
画家・谷川晃一の仕事を集めた谷川晃一展(10月23日まで。東京・三鷹市美術ギャラリー)に行ってきた。
10代に独学で絵を描きはじめたころの作品から、1960年代のポップ・アートふうな作品。図形のように変容したヒトやモノが入り混じる独特のスタイルを築きあげた時期の作品。それまでは都会の孤独といった感情が底に流れていたようだけど、50歳を過ぎて伊豆高原に移住し、絵のなかに動物や植物、森の精といった自然が入りこんでくるとともに、色彩も明るくなってきた1990年代以後の作品。
僕が親しんできたのは主に伊豆移住以後の作品だったので、それ以前の絵を見ることができて、そうか、こういう変遷をへて現代的プリミティブとでも言うんだろうか、ヒトと生き物の原形をみるような根源的で温かい絵に至ったんだなと納得。
この展覧会が面白いのは絵画だけでなく、それ以外の谷川晃一の仕事も見せてくれたことだった。手づくりの絵本、雑誌の表紙、装丁、ポスター、陶板、オブジェ、ボックスアート、パッチワークなどなど。なかには谷川晃一の絵を編みこんだセーターもある(上の写真)。ほしいな、このセーター。彼の絵を身につけられたら、どんなに気持ちいいだろう。どれもこれも、谷川晃一が手を動かす文字通りの手仕事を楽しんでいる様子がうかがえるのがいいなあ。
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