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September 06, 2011

ミシェル・ルグラン 贅沢な時間

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Michel Legrand trio live, splendid!

ミシェル・ルグランといえば、『シェルブールの雨傘』はじめフランス映画音楽の作曲家としてあまりにも有名だ。でも今日聞きにいくミシェル・ルグランは、作曲家というよりジャズ・ピアニストとしてのルグラン。彼のライブをクラブで聞けるなんてめったにない機会だと思い、楽しみに出かけた(9月5日、表参道・BLUE NOTE)。

ミシェル・ルグランが若いころからジャズ好きで、何枚かのアルバムを出していることはジャズ・ファンならよく知ってる。なかでもルグラン編曲・指揮による『ルグラン・ジャズ』はニューヨークでマイルス・デイビス、ビル・エバンス、ジョン・コルトレーン、ベン・ウェブスターといったキラ星のようなスターたちを擁して録音したスタンダード集。昔、ジャズ喫茶でよくかかってたなあ。

ビッグ・バンドふうな編成だけど、カウント・ベイシーみたいな管楽器を重ねた重厚なサウンドというより、華麗な編曲と次々繰り出される豪華メンバーのソロが印象的なカラフルで洒落たジャズ。「ジャンゴ」「ラウンド・ミッドナイト」といった名曲を、あ、ここマイルスだ、これ、コルトレーンだな、ウェブスターいい音だなあ、なんて楽しんだっけ。

でもこのアルバムでは、ルグラン自身は編曲・指揮だけでピアノを弾いてない。ピアニストとしてのアルバムはちゃんと聞いたことがないので、どんな音が出てくるの? そんな期待もあった。

Pierre Boussaguet(b)、Francoi Laizeau(d)とともにご機嫌でステージに現れた御大、足元がやや覚束ないけど、ピアノの前に座って紡ぎだすのは、美しく、ちょっとメランコリックな旋律。若い頃つくった曲らしいけど、ルグラン・メロディは聞けばすぐ分かる。歳のせいか、さすがに音に力はないけど、いい音色です。

自分の曲を中心に、たっぷり7曲。時にビル・エバンスみたいに端正で、時にミシェル・ペトルチアーニみたいに繊細で、マッコイ・タイナーみたいに速弾きで、かと思うとファンキーがかったりもする。自作のバラード「これからの人生」では甘美なルグラン節全開だし、「マイルスの思い出に」と言って弾いた「ディンゴ」(マイルスと共作)ではマイルスのトランペットそのままにスキャットで歌う。クラシック(誰の曲か聞きとれなかった)もジャズにする。いろんな曲をいろんなスタイル、いろんなテンポで自在に戯れ、そのどれもが見事なジャズ。すごい。

アンコールは極めつけ「シェルブールの雨傘(I Will Wait for You )」を、オーソドックスな演奏に始まり、ボサノバ、ニューオリンズ、タンゴから最後はロシア民謡にしてみせて、会場は大盛り上がり。

80歳になろうとする巨匠の遊び心に満ちた至福の世界。いや、贅沢な時間でした。


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Comments

いやー、本当に贅沢な時間でしたねぇ。
当たり前のことながら、CDで聴く曲のトーンはいつも同じですが、こんなにも自由自在にアレンジされるんだというのが、すごく楽しいLIVEの醍醐味でした。
Jazzに造詣の深い雄さんも、そうでない私も満足のステキなステージでしたねー。

Posted by: かえる | September 10, 2011 at 07:51 AM

これを機にジャズ熱&生演奏ジャズ熱を発症されたとのこと。ぜひ重症患者になってください。

確かにBLUE NOTEは気楽に行ける値段じゃありませんけど(その割に演奏時間が短いのが不満)、六本木はじめ、たくさんあるジャズクラブならリーズナブルな値段で聞けます。日本人ジャズもいいですよ。オーディオで聞くのと生で聞くのと、他の音楽に比べジャズほど差の激しい音楽もない(いい意味で)と思います。

それにしても、何度でも言いたくなりますが、素晴らしい時間でしたね。

Posted by: 雄 | September 10, 2011 at 11:31 AM

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