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May 14, 2011

『昼間から呑む』 切なくておかしくて

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Daytime Drinking(film review)

『昼間から呑む(原題:昼酒)』は、のっけからソジュ(韓国焼酎)を注いだグラスのアップで始まる。壜は緑色の小瓶だけど、おなじみのチャミスルやチョウムチョロムでなく、僕は飲んだことがない山が3つ重なったデザインのブランド。いずれにしろ韓国でなら2~300円で買える安い酒だ。

ソウルの居酒屋で、失恋したヒョクチン(ソン・サムドン)を励まそうと同級生3人が集まって勝手に盛り上がっている。明日はチョンソン(旌善)まで旅行して有名な市を見に行こうと、気乗りしないヒョクチンに約束させる。翌日、ヒョクチンがバスに乗って待ち合わせ場所に着くと、3人はいない。市もやっていない。さて……と、いかにもありそうなイントロで、失恋男のロード・ムーヴィーが始まる。

ヒョクチンはやたらと酒ばかり飲んでる。ペンションのがらんとしたオンドル部屋で、なすこともなく酒を飲む。翌日、隣室の女の子に酒をねだられ断りきれずに、また飲む。冬の海岸で一人でカップラーメン食べながら飲む酒がいい、なんて寂しい話題で盛り上がる。酒と女にからきし弱い。

やがて彼女は連れの男の車にさっさと乗り込んでしまい、一人になったヒョクチンは冬の海岸に行って辛ラーメンすすりながら焼酎を飲む。ところがそこには彼女が男といて同じことをやっている。酔って意気投合した3人はまた宿で酒を飲む……。この映画、半分以上が酒を飲むシーンじゃないだろうか。

ところがカップルは酔わせて身ぐるみはぐ泥棒で、パンツ一丁で冬の路上に放り出されたヒョクチンを拾ったトラックの中年男が彼に迫ってきて、かと思うとすぐキレル怖い女に2度、3度と出会って……と、これもいかにもありそうな展開なんだけど、悪いほうへ悪いほうへころがるヒョクチンの旅のなんともゆるくて無為な感じがいいんだな。舞台になる田舎町も冬の海岸も、実はヒットした恋愛映画の有名なロケ地らしいんだけど、この映画では何の変哲もない風景に映っていて、それもいい。

ヒョクチンを演ずるソン・サムドンの、気弱でいかにも人の良さそうなキャラクターがはまってる。ヒョクチンが困れば困るほど、じわーっとこみあげるサディスティックな笑い。過去の記憶でいえば山下敦弘の『リアリズムの宿』みたいな、しょぼいロード・ムーヴィーだった。でも若い時代に誰にも覚えある切なさにあふれていて、見終わってしゅんとしてしまった。ラストシーン、これもよくある手だけど、美女の誘いに、さて自分ならどう答えるだろう。

ノ・ヨンソクの第1作。監督だけでなく、脚本、撮影、編集、美術、音楽も自分でやり、100万円以下でつくった超低予算映画。カメラもピントが甘かったり、被写体が動くのをピントが追ってゆかなかったり、単に技術が未熟なだけなんだろうけど、現代写真ふうな変な味を出してた。


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