メディアについて雑感
about media reporting the Fukushima
庭の沈丁花の花。どうしてもチェルノブイリで事故後に咲いた花を連想してしまう。
チェルノブイリのような破滅的な事態は食い止められているとはいえ、4基の建物からは絶えず放射性物質が放出されている。いま行われている作業がすべてうまくいっても、原子炉と燃料プールが制御され、冷却されるまでにはまだ時間がかかりそうだ。
野菜や原乳の出荷制限が相次いでいる。「直ちに健康に影響はない」とは、裏を返せば中・長期的には影響が出る可能性がある、ということだろう。放射性物質がふりそそぐ首都圏に住む者として、情報をどう取り、どう判断していくかがいよいよ大事になっている。
1次情報やライブの情報については、NHKテレビをつけっぱなしにし、音を絞って仕事している。情報の解説・分析についてはあまり信頼していない。特に専門家と称する学者は原子力行政に関わってきた人たちだから信用できない。まだ水野解説委員のほうが的確だし、NHKの枠内とはいえ言葉のはしばしで専門家が言わないこと(言えないこと)を言おうとしている。
新聞も読んでいるけれど、今度のような大事件・大事故に際して、こんなに新聞を無力に感じたことはない。長く新聞社に在籍した者として、くやしいけれどそれが事実だ。速報性では勝負にならないのだから、テレビが報じないニュースの発掘、深い分析と解説が必要なのに、僕が目にする限り、それがほとんどなかった。それに比べて、ニューヨークタイムズのweb版は日本では伝えられない情報をいろいろ発掘している。
テレビ映像(視聴者が撮影したものも含め)に対して、新聞のスチール写真の無力さ(あるいはイデオロギー性)が露わになったのもショックだった。このことはいずれきちんと考えてみたい。義捐金の募集についても、ネットに遥かに遅れを取っている。
政府発表で出てこない情報やテレビ・新聞が報じない情報は、ネットと、僕はツイッターをやらないので、いくつかのブログやHPで見ることができるツイッター画面でフォローしている。これは質量ともに玉石混交だから、どう集めるか、それをどう判断するかが問われる。
必ず見るのは「ニューヨーク・タイムズ」と「BBCニュース」。あとは、故・高木仁三郎がつくった「原子力資料情報室」。ほかに立場と評判はそれぞれだが、参考にしているのがジャーナリスト池田信夫のブログ、武田邦彦(中部大学)のHPなど。池田信夫はブログとは別のところで、「地震と津波は天災だが、福島原発事故は人災だ」と書いている。その時々でほかにもいろいろ探すけれど、できるだけたくさんの情報を集め、いずれもそのままは信用せず、冷静に判断したい。
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