2010 MY映画ベスト10
今年は仕事が忙しかったこともあり、あまり劇場で映画を見られなかった。その代わり、DVDで座頭市シリーズ(見ていなかったシリーズ初期作品の見事なこと!)や森一生、三隅研次、池広一夫といった大映の職人監督の映画をずいぶん楽しんだ。これについては、そのうちメモを書いてみたい。というわけで、いつものように洋画邦画とりまぜてのベスト10です。特に日本映画は数えるほどしか見ていないので、見逃したものがかなりあります。順位はそのときの気分次第ですが、上位3本は心に残りました。
1 白いリボン
2 闇の列車、光の旅
3 フローズン・リバー
4 渇き
5 バッド・ルーテナント
6 息もできない
7 モンガに散る
8 悪人
9 アウトレイジ
10 マチェーテ
映画の魅力とは、わずかな時間にせよ自分の五感が別の時代、別の場所に拉致され、しかも他人になりかわることができることだと思う。『白いリボン』は第一次世界大戦直前、北ドイツの静かな村に漂う「戦争の気配」を皮膚感覚でひしひしと感じさせてくれた。
『闇の列車、光の旅』と『フローズン・リバー』は、アメリカ合衆国の北と南の国境で不法入国をめぐる映画。『闇の列車』は、アメリカを目指すホンジュラス人少女とメキシコ人少年が貨物列車の屋根に乗ってメキシコ国内を走るロード・ムーヴィー。『フローズン・リバー』は、生きるために不法移民を運ぶ仕事に手を染めたインディアン女性と貧しい白人女性の話。社会的なテーマを扱っているけどそれを前面に出さず、あくまで人を描こうとしているのがいい。
『渇き』と『息もできない』は、いま東アジアでいちばん力がある韓国映画から。キム・ギドクはこのところイマイチだけど、パク・チャヌクは健在。『渇き』は現代韓国に転生したヴァンパイア牧師の恋。『息もできない』は、新開地のチンピラと女子高生の恋ともいえない恋。邦画にない熱さが眩しい。
『バッド・ルーテナント』はアメリカ南部を舞台にした悪徳警官もの。アメリカという国のグロテスクな悪夢。こういう役をやらせるとニコラス・ケイジはうまい。
『モンガに散る』は昨日見たばかりなので、まだ感想も書いてない。こちらも熱い青春映画。台湾映画も新世代が台頭してきた。
日本映画で選んだのは『悪人』と『アウトレイジ』。『悪人』は、よくできたメイン・ストリームの映画。北野武の『アウトレイジ』は、作家性は薄まったけどアクションものとして楽しませてくれた。
『マチェーテ』は、60年代アメリカB級映画へのオマージュ。というか、そのフェイクぶりを楽しむ遊び心。
ほかにリストに入れようかと迷ったのは『クロッシング』(アメリカ映画のほう)、『彼女が消えた浜辺』『ペルシャ猫を誰も知らない』『ぼくのエリ』『海角七号/君想う、国境の南』といったところ。
今年もおつきあいいただいてありがとうございました。皆さま、よい年をお迎えください。
Comments
はじまして。
『白いリボン』『モンガに散る』は2月に観る予定で、今から待ち遠しく思っている作品です!
『フローズン・リバー』『息もできない』は私も2010年のベストにランクインさせた作品でした。力のある映画でしたよね。
Posted by: きらり+ | January 07, 2011 12:12 PM
コメント&TB、ありがとうございます。
きらり+さんは、年間にずいぶんたくさんの映画をご覧ですね。しかもミニシアター系のものばかり。ランキングにもきらりの感性を感じさせます。私はミニシアター系もハリウッドも見ますが、『牛の鈴音』は残念ながら見逃しました。機会があれば見るつもりです。
パソコンの調子が悪く、TBがうまくいかないので失礼します。
Posted by: 雄 | January 07, 2011 09:46 PM