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October 24, 2010

河井寛次郎展で

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駒場の日本民芸館へ河井寛次郎展を見に行く(~11月23日)。館の重い引き戸をがらがらと開け、土間に靴を脱いで上がり、黒光りする正面階段を上がった奥がメーン会場。木製の棚や家具の上に寛次郎の作品が展示されている。

河井は「用の美」を謳った民芸運動を代表する陶芸家だから、普通の美術館でなく、より生活空間に近く設計されたこんな場所で見るほうがふさわしい。京都でなら、たくさん収蔵されている国立近代美術館より自宅兼窯を公開した河井寛次郎記念館で見るほうがずっと楽しいのと一緒だ。

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1930年代、30代の頃のものから晩年まで約150点。若いころのには線画の線が細く繊細なものがあり、戦後は実用品ばかりでなく自分の言葉と文様を刻んだ陶板などもあるけれど、生涯を通してその美意識は一貫している。

肉厚で、ぼてっとした質感。壷も瓶も皿も、日用品の枠をはみださないのに洗練されたフォルム。大胆な筆使いの文様。呉須や辰砂、柿釉、黒釉などの落ち着いた色づかい。どれもこれも素晴らしい。こういうのを普段使いしてみたいもんだなあ。

河井寛次郎の器はこういうところで見るものとばかり思っていたが、数年前、亡くなった先輩ジャーナリストの家を訪れたら河井寛次郎の壷がさりげなく置いてあって驚いた。「おお、寛次郎じゃないですか」と言ったら、「若いころ月給何カ月分かをはたいて買ったんだよ」と楽しそうに笑った顔が忘れられない。好きな陶磁器のことをしゃべるときは、普段のジャーナリストの顔ではなくなっていた。

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見終わって、近くの喫茶店で一休み。カプチーノを頼むと、おや、河井寛次郎か濱田庄司かといった模様が。

寛次郎や濱田庄司とまではいかないが、わが家には金城次郎の抱瓶(だちびん)と猪口がある。亡くなった先輩も金城次郎が大好きだった。今日は帰ってその器で泡盛でも飲みながら命日も近い先輩を偲ぼう。そんな気になった一日だった。


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