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September 15, 2010

京都・大雲院から法観寺へ

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仕事で京都へ行き、3時間ほど自由時間が取れた。さて、どこへ行こうか。夏の特別拝観を調べると、大雲院祇園閣が公開されている。八坂神社の近くを通るたび、この奇妙な建物が気になっていた。

祇園閣は祇園祭の山鉾をイメージして建てられている。もっともこの石造の建築を近くから見上げると、下の石造部分は中国ふうに、上部の望楼は日本の城郭のようにも感じられる。

祇園閣は古い建物でなく、昭和の近代建築。1928年に伊東忠太の設計で建設された。

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伊東忠太といえば明治から昭和前期に活躍した建築家で、明治神宮や築地本願寺、大倉集古館、植民地の樺太神社、朝鮮神宮などの設計で知られる。

インドや中国の様式を取り入れた独特の建築は、築地本願寺を見れば分かるように、東洋的なデザインと近代建築が結びついたもの。どう評価するかは別として、大日本帝国のオリジナルな建築の創始者と言っていいのだろう。戦争期に流行したファシズム建築「帝冠様式」(近代建築の上に日本風な意匠を乗せた建物)の源流と言えるかもしれない。

その逆オリエンタリズム(?)のせいかどうか、この建物は京都の寺や町屋の風景のなかでどこか違和感がある。

戦後、大雲院が四条寺町からここに移って、祇園閣も大雲院の所有になった。大雲院は祇園閣を修復し、その際、入口から楼上へ登る階段室に敦煌の壁画が模写された。だから、内部はずいぶんカラフル。

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この場所はもともと大倉喜八郎の別荘で、祇園閣はその敷地内に喜八郎によって建てられた。

大倉喜八郎は幕末に鉄砲商として身を立て、維新後は政治家・軍部と結びつき西南戦争、日清・日露戦争を通じて軍需物資調達・輸送で巨利を上げた「死の商人」。大倉財閥の創始者で、関与した企業は帝国ホテル、ホテルオークラ、大成建設など現在残っているものもたくさんある。

祇園閣に登ると、京都の町が一望のもとに見下ろせる。知恩院の山門すら見下ろす角度になる。喜八郎は祇園閣ができた年に亡くなっているから、彼がここに立ったのかどうかは分からない。でも気分としては、京都を征服したつもりだったんだろうな。大倉喜八郎と伊東忠太の組み合わせは、近代日本のいかがわしさを象徴しているようにも感じられる。

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祇園閣の脇には、やはり伊東の設計で木造の喜八郎別荘がある(現在は大雲院書院)。手前の応接室が八角形なのが伊東らしい。

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祇園閣から見下ろされた法観寺の五重塔(八坂の塔)まで歩く。ここはいつも脇を通るだけだったので、今日は塔に入ってみよう。

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うかつにも知らなかったけど、この塔は古いものなんですね。寺伝によれば589年、聖徳太子によって創建された。塔は何度か焼けているけれど、中心礎石は白鳳様式で創建当初のものが残り、「日本での仏舎利信仰の原点とされている」という。その礎石をのぞくことができる。

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塔内部。中心の柱。1436年に再建されたもの。

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塔の2層から八坂通を見る。

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祇園閣     9月25日(土)  大雲院の中にある祇園閣。 石塀小路やねねの道に向かう道すがら、天に向かうこの金鶏は誰しも目にしたことがあると思います。この日は特別公開で何と祇園閣の中に入れるということでまさにラッキー全くこのことを知らなかったので担当の方に聞いてみると、不定期ながら特別公開しているとのお話でした。全くこの祇園閣の特別公開のことは知りませんでした。京都の人に聞いても知らない人もいましたよ(笑)   祇園閣は高さ36mで鉄筋コンクリート造りの三層建。建物... [Read More]

Tracked on October 12, 2010 at 05:53 PM

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