庭園美術館の有元利夫
ときどき有元利夫の絵が見たくなる。庭園美術館で「有元利夫 天空の音楽」展をやっていた(~9月5日)。器と中身の関係で言えば、アール・デコの美術館のなかに中世フレスコ画のような有元利夫の絵を置くのは相性がいいんじゃないか。自分のなかにも、こういう組み合わせを心地よく感ずる部分がある。
有元の展覧会は何年かおきに開かれるけど、亡くなって2年後の「有元利夫展」(西武百貨店渋谷店、1987)がいちばん充実していたと思う。現物を見るのがはじめてだったこともあり、すごく印象に残っている。今回も、それに比べて点数は少ないけど、主な作品はみな展示されていた。
有元利夫について、いまさら言うこともない。ただ個性を競う現代アートのなかで、個性を消そうと努め様式を求めた(それが逆に彼の絵を個性的にした)有元の反時代的な絵が、1970年代から80年代半ばという高度成長と、それが爛熟してバブルに向かう時代に描かれたのに改めて気づく。
あの騒がしい、その時限りのイミテーション・ゴールドの時代だったからこそ、その対極に、こんな静謐で時間の堆積を感じさせる絵が人の心を捉えたんだろう。
優雅なアール・デコの建物と、無重力の愉悦の空間みたいな有元の絵に浸るぜいたく。




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