快楽亭ブラック毒演会
先月につづいて快楽亭ブラックを聞きにいく(5月15日、お江戸日本橋亭)。
前回、ブラック師匠の噺は一席(って言うんですね)だけ、しかもかなりやばい下ネタだった。でもそれ専門というわけじゃなく古典落語もやると聞いていたので、そっちも聞いてみたい。
今日は「毒演会」で、3時間で四席。10分ほどの仲入りをはさんで一人でしゃべるんだから、精神的にも肉体的にもタフじゃなきゃつとまらない。
マクラでいきなり、「あっしは5年前、死んでたんです」と来た。野村克也監督が動脈瘤で入院したニュースに絡んで、同じ病気で死んだ有名人一覧にブラック師匠の名前があったそうだ。ブラック師匠は死なずに生還したからこそ、いまこうして聞いているわけだが、「5年前からあっしは死者だった」ってシュールな感じ、30年前に大阪で何度か聞きにいった当時の若手no.1、桂枝雀のぶっ飛んだマクラを思いだした。
噺は前半が「藪医者」「お若伊之助」、後半が「たがや」「オマン公社」。前半はあまり調子が上がらないようだったけど、後半は快調でしたね。
なかでも志ん朝から稽古をつけてもらったという古典「たがや」が、志ん朝ゆずり(?)の軽快なテンポ。ところどころで解説が入り、ある描写を「落語はリアリズムです」と言ったそばから、次の描写で「落語はご都合主義です」と笑わせる批評的な語りもいい。だから最後、両国橋の空に舞い上がった殿様の首を花火に見立てて「たがや~」と声をかける落ちにシュールな「毒落語」の味が出た。今日の噺ではこれが一番。
「オマン公社」は定番のネタのようだけど、前回の「超アブないネタ」(本人曰く)を聞いているので、ちょっとした艶笑話程度にしか聞こえなかった。……って、ブラックを聞くのは2度目だけど、もうこんな反応をする。客って残酷だね。
席料は3200円だったけど、CD「快楽亭ブラック 毒落語3」がおまけについていたのでお得。
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