快楽亭ブラックを聞く
わが隣人のIさんは川柳をたしなむ粋人なのだが、大学時代は落研にいたから落語にも強い。そのIさんから、快楽亭ブラックって噺家がいましてね、普通の寄席には出ないんだが、名前の通りブラックな落語が面白い、なんて話を聞いた。調べたら浅草で「快楽亭ブラック毒演会」なるものがあったので、さっそく出かけてみた(4月24日、木馬亭)。
瀧川鯉朝、立川談之助の後に登場した快楽亭ブラック師匠。太い眉にギョロ目、前歯の抜けた風貌からして怪しい。枕で軽く笑わせてやおら始めたのは……、とても文字にはできません。文字通りブラックな下ネタでしたね。しかも師匠はディープな日本映画評論家でもあり、男の子と女の子が入れ替わる大林宣彦『転校生』をもじったシュールな展開で、うーむ。マスコミではタブーも多い、ネタになった業界の方々が聞いたらどんな顔をするか。
名前からして落語家らしくないけど、プロフィールを見たらちゃんとした経歴の人なんですね。1952年生まれで、立川談志門下に入門。92年、二代目快楽亭ブラックを襲名して真打ち昇進。00年には芸術祭優秀賞を受賞している。しかし「放送禁止用語を連発する過激なネタにファンも多いが敵も多く、出入り禁止になった寄席は数知れず。05年、多額の借金を理由に立川流を除名」っていうんだから、噺も生き方も破滅型なんでしょう。
今日のは新作だったけど、古典や古典をブラック流に改編した噺もやるらしい。こちらも聞いてみたいもんです。
「快楽亭ブラックの出直しブログ」http://kairakuteiblack.blog19.fc2.com/には、師匠の呑む打つ日々や日本映画三昧が記され、女友達(?)の影もちらほらし、なにより落語に打ち込む姿勢が半端じゃなくて面白い。この男の生きざまを見届けたいという思いにさせられる。
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