浦和ご近所探索 立原道造ヒアシンスハウス
ときどき散歩する別所沼のほとりに、木造の小さなロッジふうの小屋がある。いつも閉まっているので気にも留めなかったが、日曜日にぶらりと行ったら開いていた。立原道造ヒアシンスハウスとある。
詩人の立原道造は東大で建築を学び、卒業後は建築事務所に勤める建築家だった。立原は、友人で同人誌仲間の神保光太郎が住む別所沼に週末の別荘を建てる構想を持ってスケッチを描いていた。彼はこの小住宅をヒアシンスハウスと名づけ、文学と建築のための自分だけの空間にしようと考えていたらしい。でも、スケッチを描いた翌年、24歳の若さで夭折する。
そのスケッチをもとに2004年に建てられたのが、この小屋。
5坪足らずの小住宅。沼に面した側は読書や創造のための板の間。窓が大きく開いている。反対側にはベッドと、つくりつけの書棚に机。それだけの、シンプルな空間。立原の詩と通じあうところがある。
窓の外は別所沼。今は公園になっているが、立原が訪れた時代には木立に囲まれ武蔵野の面影をたたえていたろう。
« 快楽亭ブラックを聞く | Main | 古楽器を聴く »
Comments