菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールを聴いた(12月4日、Bunkamuraオーチャード・ホール)。2日続きのコンサートの初日。2日目は菊地成孔ダブ・セクステットで、ジャズのこちらは秋に聴きに行った。
ペペ・トルメント・アスカラールの音楽を、何と表現したらいいんだろう。「伊達男(ペペ)・拷問(トルメント)・砂糖漬け(アスカラール)」ってバンド名から想像できることは、第一にスペイン語圏の音楽らしいこと、第二に互いに無関係なものを接合しているらしいこと。
編成はハープ、ラテン・アフロ・パーカッション、弦楽四重奏、バンドネオン、ピアノ、ベースに、サックス+ヴォーカルの菊地で11人。この日はゲストとしてクラシックからソプラノの林正子が加わった。
最初は現代音楽ぽく始まり、これで突っ走られたらつらいなあと思っていたら、次はバンドネオンをフィーチャーしてサルサかタンゴみたいになる。菊地がごりごり吹きはじめるとジャズになる。ソプラノサックスを吹くコルトレーンみたいにもなる。
このバンドの音、サルサとタンゴとジャズの三角形を基礎に、現代音楽やクラシックやガムランや雅楽や歌謡曲や色んな音楽の断片が出入りする感じ、と言ったらいいのかな。といって実験音楽というわけでもなく、ダンサブルなクラブ音楽を意識してるみたい(もっともポリリズムというのか変拍子というのか、普通のノリで踊れるわけじゃないけど)。なにより、菊地のサックスがよく唄ってる、その唄ごころが心地よい。鋭い高音、身体が共振するような低音、音色も素晴らしい。
アンコールで、スタンダードの「時さえ忘れて」をチェット・ベイカーばりに(チェットほどうまくないけど)ささやき声で歌ったのはご愛嬌。
今年は菊地成孔を山下洋輔トリオ、ダブ・セクステット、そしてこのペペ・トルメント・アスカラールと3度、別々のバンドで聴いたことになる。唄心があって、音色がよくて、しかも彼以外誰もやってない音楽をやってて。来年も追っかけることになるかな。
Comments
明けましておめでとうございます。
私は『パビリオン山椒魚』の音楽が非常に気に入って、菊地さんの音楽にちょこっと興味をもつようになったんですが。
で、今年は『パンドラの匣』の音楽も手がけていて、そのタイミングでオチャードホールのこのコンサートにもかなり心惹かれたのですが、日程的に都合がよくなくて断念しました。
だけど、twitterでこのコンサートの魅力を盛んにつぶやいている方がいたり、その後こちらに魅力的な記事を発見したりと、私は無理してでも行かなかったのを後悔することとなりました。
機会を逃してしまったがゆえに、興味は増すものですね。
今年はもうちょっと音楽を聴きに行きたいなぁと思った次第です。
また何かよいものがありましたら是非記事にてご紹介ください。
(と、ついでに一言。
雄さんはそのtwitterはやってませんでしょうか? orやる予定などはないでしょうか?
ブログで発信するのとは違う手軽にしてライヴな面白さがありまして、物書き仕事の方や音楽に携わっている方もたくさんいらっしゃったり、情報収集するのにもなかなか刺激的な場になっていますのです。)
Posted by: かえる | January 05, 2010 01:42 AM
明けましておめでとうございます。
『パビリオン山椒魚』も『パンドラの匣』も音楽は菊地成孔なんですか。知らなかった。いけませんね。さっそくDVDを探してみます。
彼のバンドはジャズのダブ・セクステットもペペ・トルメント・アスカラールも、どちらも楽しいです。
twitterはやってません。ブログで精一杯という感じで。小生のブログは年齢のせいか仕事のせいか、どうしても文章調になってしまうので、しゃべり言葉に興味はあるんですが。
Posted by: 雄 | January 05, 2010 11:08 PM