奈良に寄り道
仕事で大阪へ行ったついでに奈良へまわり、興福寺の「お堂でみる阿修羅」展へ。
朝早い近鉄で行ったのに、チケットを買うだけで30分の行列。ようやく売り場まで来ると、会場の仮金堂へ入るのに更に2時間かかるという。行列ぎらいなので普通ならあきらめるけど、既に30分並び、このために奈良まで来たと思うと意地になる。博物館や美術館で見る仏像(ふだん阿修羅が展示されてる興福寺国宝館も含めて)には違和感を覚えるので、この機会に見ようと思っていた。この混雑、考えてみれば3連休だし、会期最終日の前日だから当然か。
でも前に並んでいた地元の女性や、後ろの山梨から来たカップルと親しく話したり、互いに列を抜け出したり、「袖振り合うも他生の縁」を実感できたのが楽しかった。
阿修羅はじめ八部衆像は以前にも何度か見たことがあるけど、同時公開していた北円堂の弥勒如来、無著・世親菩薩立像(いずれも運慶作、国宝)が素晴らしい。
五重塔の前で記念撮影する中国の若者たち。
彼らを見ていて思い出したけど、「奈良を歩くのは唐の長安にいるのと同じだ。長安は奈良にある」と書いたのは司馬遼太郎だった。
仏像が日本に入ってきたとき、それを納める建造物としてつくった「寺」は、もともと中国の官庁建造物がモデルだったという。「寺」には本来「仏教寺院」の意味はなく、「建物としての役所」を意味していた。漢の時代、中国に仏教が入ってきたとき、とりあえず「寺」に仏像を安置して拝んだことから「仏教寺院」を意味するようになった。それらの建造物はいま西安になく、奈良に残っている。役所の建物としての雰囲気をよく伝えているのは唐招提寺の金堂や講堂らしい。なるほど。あの素気ないほど装飾のない直方体がそうなのか。
はしゃいでいる彼らは、古の長安にいることを気づいているのかな?
近鉄特急の車窓から見えた平城宮跡。以前は何もない野原だったけど、遷都1300年祭のために朱雀門が復元されている。
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