« 映画ベスト10・2008 | Main | 『懺悔』の寓意 »

January 03, 2009

NYの記憶・14 正月は『コールド・ケース』に浸る

Cold_case

ニューヨークにいたとき、人気のTVドラマは『ヒーローズ』や『CSI』だったけれど、僕がいちばん好きだったのは『コールド・ケース(Cold Case)』だった。

フィラデルフィア市警殺人課の女性刑事リリー・ラッシュ(キャスリン・モリス)を主人公にしたシリーズで、未解決事件(コールド・ケース)が何らかのきっかけで再捜査され、事件の真相や真犯人が時をこえて判明する1時間ドラマ。

事件は1年前のこともあるし、半世紀以上前だったりもする。いちばん多いのは1970~90年代あたりだろうか。それぞれの時代のいろんな事件や出来事が背景になっている。赤狩りや公民権運動、新興宗教。不況や失業、人種差別。貧しいアフリカ系住民や移民が住む地域が舞台になっていることも多い。

なかなか硬派の犯罪ドラマなんだけど、たいてい意外な人物が犯人で、社会問題をこえて人間の悲しさ、おろかしさが浮かび上がってくるのがすごいし、泣かせもする。実質四十数分のなかにこれだけの中身を盛ることができるなんて、アメリカのドラマづくりの力に改めて驚くなあ。それに比べて日本のドラマは、、、とは言うまい。

『コールド・ケース』のもうひとつの見どころ(聞きどころ)は音楽。それぞれの時代に流行っていた音楽が、実に印象的に使われてる。特にオープニングとエンディングの選曲は凝っている。ルイ・アームストロングやビリー・ホリデイ。ボブ・ディランやU2。それらが流れてくるだけで、いろんな時代にタイム・トリップできるんだなあ。TVドラマにしては時代考証もちゃんとして、カネもかかってるし。

プロデューサーはジェリー・ブラッカイマー。ブラッカイマーといえば『トップガン』とか『ビバリーヒルズ・コップ』とか、TVなら『CSI』のヒットメーカーで知られるけど、こういう硬派のドラマをつくっているとは意外だった。

チャンネルはCBSで、日曜の夜9時から。僕がいたときはシーズン5が放映されていた。ニューヨークに行ったのは還暦を過ぎてからだったので、土曜か日曜のどちらかは休養日にして、できるだけ外出せずに掃除・洗濯など家事に当てることにしていた。『コールド・ケース』を見るようになってからは、どうしても行きたいライブなんかは別にして、日曜を休養日にすることが多くなった。

実はつい最近、わが家で加入しているケーブルTV(AXNチャンネル)でこのドラマをやっていることに気づいた。しかも年末年始にシーズン2を一挙放映するという。で、結局、年末年始には映画を1本も見ずに『コールド・ケース』を12話、たっぷり楽しんでしまった。

シーズン2は、ニューヨークから来たリリーの妹がリリーの同僚刑事と恋人同士になり、しかもその妹が犯罪に絡んでいるなど主人公のプライベートなエピソードもあって、そういう部分がないシーズン5とは別のテイストがある。

これからも週に1話ずつ放映があるらしく、はまるかもしれないな。

|

« 映画ベスト10・2008 | Main | 『懺悔』の寓意 »

Comments

あけましておめでとうございます。
12月東欧、トルコ各地で出逢った若者達の口から決まって「ヒーローズ」の話題が出たのには驚きました。「CSI」や「コールドケース」も知ってるけど〜断然「ヒーローズ」だと言っていましたが、そんな話を後々友人と話したところ「コールドケース」は「水戸黄門」のようなものと言っていました。
残念ながら私は連続もののドラマは全く見ないので、その意図はわからないのですが〜どうなのでしょう?
本年もよろしくお願いいたします。

Posted by: yucca | January 06, 2009 05:08 PM

あけましておめでとうございます。

お帰りなさい。東欧やトルコでも「ヒーローズ」ですか。私もTVドラマをそんなに見ていたわけではありませんが、確かに「ヒーローズ」や「CSI」は面白いですね。
それに比べれば「コールド・ケース」は地味なドラマです。

お友達が「水戸黄門のようなもの」とおっしゃる意味はよく分かりませんが、最初と最後に倉庫に眠っているコールド・ケースの箱から書類を取り出し、解決してまたしまうという「お約束」の映像が差し挟まれることでしょうか。

ともあれ、今年もよろしく。

Posted by: | January 07, 2009 11:22 AM

新年おめでとうございます。

最近、ケーブルテレビも地デジで部品交換とかで
(うちはCATVですが)見積もりやら工事やら
計7-8万とられそうで、プンプンです。
国家ぐるみの合法詐欺にあってる気分。
そちらはそんなことないですか。
でも、テレビで映画や面白い海外ドラマをやっていると、
つい見てしまい腑抜けになりそうな日々。
雄さんは、大丈夫ですか(゚ー゚)

Posted by: aya | January 10, 2009 11:13 AM

今年もよろしくお願いします。

このへんはまだそういう話は来てませんが、そうなんですか。そんなにお金がかかるの? ひどいですね。

僕もケーブルテレビは映画とスポーツですね。テレビはなるべく見ないようにしてますが。


Posted by: | January 10, 2009 08:59 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference NYの記憶・14 正月は『コールド・ケース』に浸る:

» 『コールドケース(Cold Case)』 [Radical Imagination]
アメリカ自治領サイパンで「ロス疑惑」の三浦和義容疑者(アメリカにとっては198... [Read More]

Tracked on January 11, 2009 03:19 PM

« 映画ベスト10・2008 | Main | 『懺悔』の寓意 »