NY日記 2
年をとると時差ボケがきつい。若いころから機内では眠れず、軽い時差ボケになっていたけれど、ジジイになると基礎体力が低下しているので、それがいっそうこたえる。
幸いというか、今回は観光が目的ではないので余裕あるスケジュールを組んでおり、今日はオフ。
昨夜は知人夫婦のパーティに顔を出した。着いて早々なのでためらったけど、世話になる人に到着した日に挨拶しておくのが礼儀だろうと思い、ちょっと無理をした。知人は、今日は来ないと思っていたよ、と。
グリニッジ・ビレッジのイタリア料理店。知人の元同僚がリタイアしたのを祝って8人ほどが集まっている。僕もリタイアしたばかりだと知人が紹介すると、「Happy Retirement!」と弾けるような笑顔で乾杯してくれた。
パーティといってもレストランの普通のテーブルで、ハウスワイン、トマトにモッツァレラ・チーズのサラダにそれぞれが好みの一品、という質素なもの。2時間ほどいて、10時すぎに失礼した。土曜の夜、ビレッジはここだけ別世界のように人でいっぱい。
今日は一日、部屋でごろごろしている。近くのデリで野菜とチリ・ビーンズを買ってきて朝食を取り、ベッドで一日、うつらうつら。昨日と同じように蒸し暑く、空には重い雲が立ち込めている。
しばらく眠っては起きる浅い眠りから覚めると、雨が降っている。窓のガラスをすっと下ってゆく雨滴の向こうに、何かの工場だろうか飾り気もなく人の気配もない2棟のビルがいっそう薄汚れて見える。45丁目のこのあたりは、午後というのに人通りが少ない。閉めきった窓を通して、ときおり車の騒音、パトカーの鋭いサイレンが聞こえる。
そんな淋しい風景をぼーっとした頭で小1時間ほども眺めていた。いままでの旅行なら時差ボケなど無視してどんどん動いていたけど、無為に過ごすこういう時間も悪くないかも。
いつのまにかまた眠っていて、目がさめたら午後6時だった。
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