結城紬の館
私が織ったコースターと、手染めのショール(肌色部分は栗の木染め、鼠色は鉄媒染)
結城紬の老舗・奥順が計画した「つむぎの館」を知人の建築家が手がけていた。それが完成して、初めてのツアーに参加した。結城紬で知られる茨城県結城市には蔵づくりの店舗がいくつも残っている。蔵を改装したカフェや、古民家を移築した陳列館、染織体験ができる織場館や結城紬資料館などが「つむぎの館」。開館して間もないけれど、近くに益子や笠間もあるから週末はけっこうにぎわっている。
結城紬は重要無形文化財に指定されている。繭を加工した真綿から手で糸をつむぎ(普通の糸のように撚らない)、何ヶ月もかかる複雑な作業で染め、原始的な地機織(じばたおり)で織る。ベテランが1日に織れるのはせいぜい20センチ、1反織るのに50日から、複雑な模様は1年かかるという。1500年前の染め方と織り方が今もそのまま使われている(もちろん、もっと「近代化」されたものもある)。その気の遠くなるような工程を説明されると、本物の結城紬が1反数百万円から数千万円するというのも、まあ仕方ないかという気がしてくる。
そんなことを知り、簡単な染めと織りを体験ができたのが嬉しかった。編集者という仕事もそういう部分が多いけど、こういう職人的な作業はなんとも楽しい。
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