« 『イン・ハー・シューズ』のハリウッド度 | Main | 『嗤う日本の「ナショナリズム」』のカギカッコ »

December 01, 2005

ディジー・ガレスピーの音色

RIMG0270w

ディジー・ガレスピーのトランペットの音色はいいなあと、『ザ・チャンプ』(savoy)を聴いて改めて思った。チャーリー・パーカーとともにビバップをつくりあげたスピード感や新鮮なアドリブに、すごいと感じたことはあっても、いい音色と感じたことはなかった。

それは、僕の聴いたのが1940年代から50年代初期の録音が多く、音がどこかヴェールをかぶったように聞こえていたからだろう。デジタル・リマスターされたこのシリーズの音は、1951年録音というのに、その場に立ち会っているような臨場感がある。

突き抜けるハイノート。明るく力強い中低音。ガレスピーって、こんないい音出してたんだ。一世代若いマイルス・デイビスとは対照的。というより、マイルスはガレスピーを意識しながら自分の個性を探って、細く消え入るようなミュートの音に行き着いたんだろう。

このアルバムのもうひとつの聴きどころは、ガレスピー・バンドの錚々たる顔ぶれ。ミルト・ジャクソン、パーシー・ヒースという後のMJQ組、J.J.ジョンソン、ケニー・バレル、ウィントン・ケリー、そしてジョン・コルトレーン。「キャラバン」「スターダスト」「バークス・ワークス」などなど、おなじみのナンバーをビッグバンド風な楽しいサウンドで。

ミルト・ジャクソンは大きくフィーチャーされて、のりのいいヴァイブを聞かせているし、ウィントン・ケリーは短いながら、ころがるようにリズミックなピアノを弾いている。新人コルトレーンはまだアドリブを取らせてもらえない。

|

« 『イン・ハー・シューズ』のハリウッド度 | Main | 『嗤う日本の「ナショナリズム」』のカギカッコ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference ディジー・ガレスピーの音色:

« 『イン・ハー・シューズ』のハリウッド度 | Main | 『嗤う日本の「ナショナリズム」』のカギカッコ »