『バットマン・リターンズ』(DVD)
ティム・バートンの『バットマン』とは別のテイストのダークな映画に仕上がっていたけど、クリストファー・ノーランの個性はアメリカン・コミックとの相性が必ずしもよくないと思った。
『メメント』の記憶喪失、『インソムニア』の不眠症と内面の「ノワール」と外部のノワールを対照させてきたノーランが、ブルースがいかにバットマンになるか、その内部の「ノワール」を説明しようとすればするほど、コミックの爽快感やいさぎよさから遠くなるような気がした。内面なんてものをさっぱり切り落とした『シン・シティ』を見たばかりだったので、よけいにそう感じたのかも。
ゴッサム・シティの映像感覚はさすが。この手の架空(未来)都市の描写はたいてい『ブレードランナー』を下敷きにしていて、この映画にも見てとれるが(ルトガー・ハウアーも出ているし)、それ以上にフリッツ・ラングの古典『メトロポリス』に近いものを感じた。
ノーランは、ハリウッドの若手でいちばん楽しみな監督のひとりだね。
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