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October 18, 2005

『ベルベット・レイン』は映像派

10日ほど前にDVDで『インファナルアフェアⅡ』を見直したばかりだったので、最初の印象は、あれれ、なんだか同じメンバーが引っ越してきてるな。

アンディ・ラウはじめ、『Ⅱ』でラウとトニー・レオンの少年時代を演じたエディソン・チャンとショーン・ユー。おなじみサム親分のエリック・ツァンにキョン役のチャップマン・トウ。エリック・ツァンは『Ⅱ』と同じ黒社会のボス役で、しかもサム親分みたいに何か食べて口をもぐもぐさせながらしゃべってる。

でもこんな光景は、かつて東映ヤクザ映画や日活アクション映画を見てきた者には珍しくもなんともない。役者と役柄と設定を使い回していたプログラム・ピクチャーには当たり前のことで、なつかしさすら感じてしまった。

『ベルベット・レイン』(この邦題は???)はウォン・ジンポー監督のデビュー作になる。初監督作品でアンディ・ラウとジャッキー・チュン2人のスターと期待の新星2人を起用した映画をつくれるところに、一時不振を伝えられた香港映画がいま一度おもしろくなってきた状況を見ることができるかも。

ボス役でちょっと出てくるエリック・ツァンがプロデューサーを兼ねている。というより、プロデューサーのツァンがちょいと映画に顔を見せたと言うほうが正確だろう。ツァンは役者だけでなく監督もやり、プロデューサーとして積極的に若手を発掘しているらしいから、香港映画を支えるのキーパーソンのひとりと言えるのだろう。役者としていい味をもち、監督(未見)やプロデューサーとしても活躍するサム親分は頼りになるね。

映画は2つのストーリーが錯綜しながら進む。マフィアの大ボス、アンディ・ラウが引退を決心すると、またたく間に大ボス暗殺の噂が駆けめぐる。ラウの片腕(文字通り)ジャッキー・チュンが大ボスを無事に引退させたいと手荒なやり口でボス連中を粛正するが、ラウはチュンが暗殺の黒幕かもしれないと疑っている。一方、チンピラのエディソン・チャンは、ボス暗殺の鉄砲玉が募集されているのを聞き込み、兄貴分のショーン・ユーを売り込んで、2人で黒社会でのしあがろうとする。

ノワールによくある、2組の男たちの友情(と裏切り?)がテーマになっているのだけど、この映画はあるアイディアを軸に成り立っている。ネタバレは避けるが、そのアイディア自体、『インファナルアフェア』にヒントを得たと言えなくもない。その意味でも香港映画における『インファナルアフェア』3部作の大きさを実感する。

ただウォン・ジンポー監督の文体は、ストーリーと登場人物の感情を丹念に積み重ねるやり方ではなく、どちらかといえば映像派。たびたび登場するレストラン(これがアイディアの伏線)、チンピラ2人が拳銃を求めて訪れる倉庫、ラストシーンで激しく雨の降る路上。画面づくりは凝っている。映画全体として成功しているとは思えなかったけれど、その意味ではウォン・カーウァイの系統に連なるのかもしれない。

昔、プログラム・ピクチャーを毎週のように見ていたときの感じで言えば、当たりとは言えないけど、コツンと感ずるものがあってこの監督の次作が気になる。そんな映画だった。

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Comments

TBどうもありがとうございます。
ストーリ展開は、複雑なのか、単純なのか、一度観ただけではなんとも評価しがたいです。
映像と雰囲気はとりあえず満喫できる一本でした。

Posted by: RIN | October 18, 2005 at 04:41 PM

初めまして!TBさせていただきます。
私は香港映画やフイルム・ノワールをあまり見たことがないせいか、
ストーリーがさっぱり理解できず、かなり戸惑いました。
役者や映像などは決して嫌いではないんですけどねぇ。

Posted by: snowflower_001 | October 18, 2005 at 07:39 PM

>RINさま

TB&コメントありがとうございます。
ブログ、拝見しました。金城武クンへの入れ込みすごいですね。楽しく拝見しました。

>snowflower 001さま

この映画、私もよく分からないところがあります。

でもヒッチコックもよく考えると辻褄合わないところがたくさんあるし、プログラムピクチャーはしょっちゅう手抜きで辻褄合わなくなってるし、監督によっては意図的に曖昧にすることもあるし、とりあえず大きな流れを納得できれば気にならないようになりました。

Posted by: | October 19, 2005 at 10:42 PM

TBありがとう。
本当に、サム親分は、頼りになりますよ。あの調子で、周囲をプロデュースするのかしらねぇ。

Posted by: kimion20002000 | February 24, 2006 at 09:22 PM

あのしゃべり、あの表情、アクションは素のままのような気がします。香港映画の熱気をツァン親分は象徴しているのでしょうね。

Posted by: | February 26, 2006 at 07:49 PM

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