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January 19, 2005

アラブ・ポップスにハマる

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ヨーロッパの街を歩いていると、いきなりアラブ歌謡が家のなかから流れてきて驚かされることがある。去年、パリの移民街、メニルモンタンを歩いているときもそうだったし、何年か前、リスボンの旧市街、アルファマをさ迷っているときも同じ体験をした。それ以来、アラブ歌謡がなんとなく気になってた。

去年の暮れ、不見転で2枚のCDを買った。ナワール・エル・ズグビーの『エイネイク・カダビン』(写真右)とアンガーム『あなたと生きる』(写真左。ともに輸入元はOffice Sambinha)。ナワールはレバノンの、アンガームはエジプトの人気歌手だそうだ。

これが2人ともいいんですね。ノリのいいリズム。オリエンタルなメロディー。アラブ楽器独特の音色。こぶしの利いた艶っぽい歌。陽気で、パワフルで、そのくせ甘い感傷があって、すっかり気に入ってしまった。

2人ともアル・ジールと呼ばれるアラブ・ポップスの歌い手らしい。古いアラブ歌謡に比べて、欧米ポップスの影響がいちだんと濃いんだって。日本でいえば、演歌に対するJポップといったところか。もっとも、無国籍のJポップより演歌っぽさ(アラブっぽさ)はずっと強い。喩えれば坂本冬美がクレイジー・ケン・バンドの歌を歌ってる感じ?(関係ないけど、彼女のレゲエを聴いたことがある。実によかった)

だから楽器もウード(ギターの祖)、ナイ(笛)、ダルブッカ(太鼓)といったアラブ楽器やアラブの旋律を紡ぎだすバイオリン。それに加えて、ベースやドラムス、シンセサイザーも使われる。打ち込みやリミックスもある。ブラスやラテン風味のギターが入ったりもする。

リズムは単調で、ドドン・ド・ドンと日本の太鼓みたいなのもある。ひゅるひゅると笛が入ると、すっかりお祭り気分。親しみやすいメロディーを少しずつ変化させながら、独特のこぶし回しで歌われる。バック・コーラスとのコール&レスポンスがあって盛り上がる。

ナワール・エル・ズグビーは歌といいルックスといい、なんとも濃くて、官能的。聴く者を音の渦に巻きこむオーラを発してる。「アラブ音楽入門」というサイトによると、「ビデオ・クリップは必見。ナワルのお色気パワーには女性でもくらくら」だそうだ(僕は残念ながら見てない)。ジャケットからも、それは想像できる。

アンガームはナワールに比べると透明な歌声。こぶし回しも繊細で、歌の表情は豊か。父親はアラブ古典音楽の声楽家で、彼女自身も古典を歌っていたらしいから、アラブ音楽の伝統をしっかり身につけてるんだろう。その一方、欧米ポップスふうのバラードを歌っても、しっとり聴かせる。

いまのところ、この2枚を繰り返し聴いているけど、ハマッてしまいそう。

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