『ピアノ・ブルース』は濃い
1月ほど前、WOWOWで『ピアノ・ブルース』(演出=クリント・イーストウッド)というドキュメンタリーを放映した。劇場公開はない(イーストウッドの希望。つまり「作品」ではありませんよってことか)ので要チェックと思っていたのに見逃した。残念に思っていたら、友人が録画してあるという。
ちなみに、その男は日に数本の映画、テレビ映画(主に60年代アメリカのTVシリーズ)を録画しているのだけれど、CMを抜いて編集し直したり作品データを調べるのに忙しくて、録画したものを見る暇がないとボヤいている。リタイアしたら映画三昧だと言うのだが、自分の部屋は未見のヴィデオやDVDで天井まで埋まっているらしい。
クリント・イーストウッドが大のジャズ好きというのは、よく知られている。チャーリー・パーカーをモデルにした映画『バード』をつくっているし、自分でもピアノを弾く。そのイーストウッドがピアノを前にレイ・チャールズやデイブ・ブルーベック、Dr.ジョン、ジェイ・マクシャンらブルース・ピアニストにインタビューし、おまけにピアノを弾いてもらうという好き放題(?)やってるドキュメント。
ニューオリンズやシカゴのブルース・ピアノ、ブギウギ・ピアノなど過去の映像が次々に紹介される。その指に「神が宿る」と言われたアート・テイタムのピアノを初めて映像で見たし、セロニアス・モンクのユニークな演奏も、ブギウギ・ピアノの流れのなかに置いてみると何の違和感もなく、伝統にのっとりながら新しいものをつけ加えていることがよく分かる。
現役では、ニューオリンズのブルースとはあまり関係なさそうなデイブ・ブルーベックが子供の頃の思い出を語り、彼らしいやり方で弾いたブルースが、アフリカ系のピアニストとはまったく違うアプローチで素晴らしかった。
個々のミュージシャンを知らなくとも、音に耳を傾けているだけでたっぷりと濃いブルース・ピアノを堪能できる。9月20日深夜に再放送があるので、ブルース・ファン、ジャズ・ファン、イーストウッド・ファンは是非。
Comments
こんにちは。このドキュメンタリー、存在は知ってましたが
こんなに「濃い」ものとは思ってませんでした。
劇場公開しなくてもWOWで放映してたってことは
ビデオ屋とかであるのかな?探してみます。
以前うちのブログにコメントしていただいた
フィニアス・ニューボーンJRのCDを買いました。
これが超好みなもので、かなり衝撃的でした。
どうもありがとうございます!
これからもこちらのページを参考に
世界を広げていきたいです☆
Posted by: manamizw | November 18, 2004 11:14 PM
今夏、ファッツ・ドミノがハリケーン・カトリーナで行方不明になったのがニュースに出ていましたが、まだ弾いているのでしょうか。ちょっと気になっています(笑)
Posted by: kiku | December 09, 2005 08:48 PM
確か、ファッツ・ドミノがしばらくして自宅に戻ったら、「安らかに眠れ」って壁に書かれていたなんてニュースを読んだ記憶があります。
カトリーナ被災者救済のコンピ・アルバムにも入っていますね。一躍、時の人でしょうか。
Posted by: 雄 | December 12, 2005 03:11 PM