April 22, 2018

鶴橋の市場へ

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ボランティアの用事で大阪へ行ったので、鶴橋駅前の市場へ。ここへ来たら必ず買う岩ノリと、ホタルイカをネギ、ニラ、トウガラシで漬けたものがおいしそうだったので。

この漬物屋のおばちゃんとは30年以上の顔なじみ。当時、鶴橋で週1度、韓国語を勉強していて、帰りにここで漬物を買っていた。元気そうで、なにより。


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『さよなら、僕のマンハッタン』 父と息子の物語

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The Only Living Boy in New York

マーク・ウェブ監督はミュージック・ビデオの出身らしい。『さよなら、僕のマンハッタン(原題:The Only Living Boy in New York)』には、1960~70年代の音楽がいっぱい散りばめられている。というより、その時代の音楽にインスパイアされた映画といってもいいくらい。

そもそもThe Only Living Boy in New Yorkというタイトルからして、サイモンとガーファンクルの曲から取られている。この曲の歌詞は「トム」という男に呼びかける形になっているが、トムはこの映画の主人公トーマスの愛称だ。NYでひとりぽっちの少年。それからルー・リードの「パーフェクト・デイ」。ジェフ・ブリッジス(僕と同年代)の姿にこの曲がかぶさると、1970年代の空気が蘇る。さらにボブ・ディランの「ジョハンナの幻」。映画のなかで主人公が憧れる年上の女もジョハンナだ。懐かしいプロコル・ハルムの「青い影」、ジャズのデイブ・ブルーベックやビル・エヴァンスも流れている。

みんな「あの時代」の音。それにひたり、甘酸っぱい物語に身を委ねていれば、ま、たまにこういう映画もいいか、という気分。

トーマス(カラム・ターナー)は、上品なアッパー・ウェストサイドで育ったコロンビア大学の学生。家を出て、雑多な人種が住むロウワー・イーストサイドのアパートで暮らしている。ガールフレンドのような友だちのようなミミ(カーシー・クレモンズ)は、トーマスと別れて外国に行こうか迷っている。トーマスの隣の部屋に初老のW.F.(ジェフ・ブリッジス)が引っ越してくる。ある日、トーマスは出版社を経営する父イーサン(ピアース・ブロスナン)が女性と親密にしているのを見てしまう。その女性、ジョハンナ(ケイト・ベッキンセール)の後をつけ、知り合いになったトーマスは年上の彼女に惹かれていく……。

と書いてきて気づいたけど、これはサイモンとガーファンクルの名曲がフィーチャーされた『卒業』のヴァリエーションだなあ。もちろん、それをなぞるわけでなく、こちらは「父と息子」の話。トーマスは作家志望だが、書いたものへの父の評価は「よくある話」。でも、作家であることがわかったW.F.は、トーマスの書いたものに才能があると評する。さらにはトーマスの両親とも古い知り合いであることがわかってくる。

両親とW.F.の過去にはちょっと無理があるけど、ま、リアリティを求めるのも野暮というもの。アッパー・ウェストサイドの典雅な褐色砂岩の住宅街。ロウワー・イーストサイドの、下層階級や移民や貧乏アーティストが暮らすアパートメント。ダウンタウンの、チャイナタウンなどの街並み。ニューヨークという魅力的な都市を舞台にした苦く甘い青春物語を楽しめばいいんだろう。僕も10年前に住んだニューヨークを懐かしみながら、気分だけは若くなっていた。それ以上の、またそれ以下の映画ではないけれど。


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April 20, 2018

『レッド・スパロー』 大人になったジェニファー

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Red Sparrow(viewing film)

ジェニファー・ローレンス、シャーロット・ランプリング、ジェレミー・アイアンズと気になる3人の役者が出ているとあっては、見ないわけにいかないなあ。しかも好みのスパイ・ミステリーものだし。

ジェニファー・ローレンスを最初に見たのは『あの日、欲望の大地で』。シャーリーズ・セロンの子供時代を演じて、魅力的な少女だった。次の『ウィンターズ・ボーン』では、貧しい白人の村に生きる健気な少女。大人になりかけた意思的な表情が素晴らしかった。『ハンガー・ゲーム』は見てないけど、アカデミー主演女優賞を取った『世界にひとつのプレイブック』でブレイクし、『アメリカン・ハッスル』では、え、こんな色っぽい女優になったの? と驚いた。少女時代とこんなに印象が違うなんて。

『レッド・スパロー』のジェニファーは、セックスと心理操作で敵を絡めとるロシアの女スパイ、ドミニカ。バレエ団のスターだったがケガでバレエを断念し、情報機関で働く叔父(プーチンそっくりなのが笑わせる)によってスパイ養成学校に送り込まれる。与えられた任務は、米のCIA要員ネイト(ジョエル・エドガートン)に接触し、ネイトに内通するロシア高官の名前を掴むこと。

ドミニカがネイトを誘惑し、でも2人は愛しあうようになったように見え、ドミニカは国を裏切ったのか、あるいはスパイとして仕事に忠実なのか、見ていてわからないところからサスペンスが生まれる。といって、あまり内面の葛藤みたいな描写はない。演技派というより、存在が醸しだす魅力で見せる女優かな。ジェニファーを少女時代から見ている身としては、こんな大胆なシーンもやるようになったんだと複雑な気持になる。

シャーロット・ランプリングはスパイ養成学校の校長。グレーのツーピースに身を包み、生徒にハニートラップの仕掛け方を冷たい表情で指導する。似合いの役柄。1960年代の『地獄に堕ちた勇者ども』から見てるけど、50代になって『まぼろし』や『スイミング・プール』あたりから若い頃とは別の年齢を重ねた魅力を発するようになった。見ているだけで満足する女優。

ジェレミー・アイアンズはロシア軍の将軍。出番は少ないけど複雑な役どころを演ずる。『戦慄の絆』以来、いい役者だなあと思って見ている。役者としての格を考えると、内通者は誰か想像がついてしまうけれど……。でも、終盤でもうひとひねりあって、ドミニカは自分をスパイに送り込んだ叔父に復讐する。

最後に飛行場で互いの人質を交換するシーンは、米ソが対立していた時代のスパイ映画の雰囲気。『寒い国から帰ったスパイ』を思い出してしまった。スパイものスリラーとして特に際だった映画じゃないけど、東西冷戦時代のスパイものの雰囲気を出しているのが面白かった。

そういえば、ソ連が崩壊しロシアになってからの話なのに、なんで「レッド・スパロー(赤いスズメ)」なんだろう。「レッド」は共産主義を意味しソ連国旗も赤なのに対し、ロシア国旗は赤・青・白の三色旗。原作(未読)のタイトル通りだけど、ソ連もロシアも体質として同じということか。映画でも小説でもエンタテインメントでは強力で魅力的な敵役が必要で、クリミア半島を強奪したロシアはソ連を引き継いでその資格十分というところ。

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April 18, 2018

吉田裕『日本軍兵士』を読む

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吉田裕『日本軍兵士』(中公新書)の感想をブック・ナビにアップしました。


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April 14, 2018

国会前へ

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森友・加計問題解明と安倍退陣を求める国会前の集会へ。

始まって1時間余、歩道は参加者で身動きが取れなくなってきた。人の群れがさらにふくらんで警備の柵が押し倒され、車道にあふれ出る。国会前の道路をこれだけの人が埋めつくすのは、3年前の安保法制反対集会以来かな。

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奥田愛基君ら元SEALDsのメンバーが、ラップのリズムに合わせてコール。

公・式・文・書を・改・竄・するな
本当のことを言え
安倍は出てこい
昭恵も出てこい
勝手に決めるな
奴らを通すな
ノー・パサラン(No Pasarán!)
Tell me what democracy look like.
This is waht democracy look like.
♪あ♪べ♪は♪や♪め♪ろ♪

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April 10, 2018

川湯温泉へ

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北海道の川湯温泉へ行ってきた。女満別空港からバスで1時間半。雪の残る美幌峠を越え、屈斜路湖畔を走り、活火山の硫黄山に向かって少し入ったあたり。その先に摩周湖がある。

源泉掛け流しの湯は硫黄泉。硫黄泉といえば白濁していることが多いけど、ここのはかすかに緑白色がかっているが透明。湯の花もない。天候によってちょっと熱かったり、ぬるめだったり。外は白樺とアカエゾマツの林。時折雪が舞い、冷たい風を顔に感じながら小一時間つかっていると体の芯から温まる。

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湯の出口には硫黄の結晶。強い酸性の湯で、目に入るとしみる。塩分も多く、舐めると塩味。

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町なかを温泉が川になって流れている。かつてはアイヌ語でセセクベツ(熱い川)と呼ばれていた。

こんなに大きな温泉だとは知らなかった。大きなホテルが何軒もあるが、廃業して雑草が生えたままの建物もある。団体客で持っていた宿はきついだろう。

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水蒸気が立ちのぼる硫黄山。熱された地下水が噴気孔近くまで上昇し、手前に広がるイソツツジの群落の地下を流れ温泉街近くで湧出する。

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エコミュージアムの背後に広がるアカエゾマツの森。酸性土壌で植物にはきびしい環境。国立公園なので、倒木もそのまま自然の成り行きにまかせる。

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晴れていたと思っていたら、いきなり降ってきた。10分ほど激しく降り、あっという間に止む。


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March 27, 2018

議員会館前で

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国会図書館で調べものがあったので、その前に議員会館前の昼の集会に参加。

佐川元財務省理財局長の証人喚問の日。参院での喚問の様子を野党議員が報告した。決裁文書改ざんについて、肝心の「なぜ」は捜査中を理由に語らず。


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March 26, 2018

大阪で姜在彦さんを偲ぶ会

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去年11月に亡くなった姜在彦さんを偲ぶ会に出席するため、日帰りで大阪へ行ってきた。

呼びかけ人は大学の教え子が中心らしいので「姜在彦先生」だけど、僕は30年前に知りあった雑誌『三千里』編集委員時代からカンジェオンさんとしか呼んだことがないので「先生」は落ち着かない。学問的な話をしたこともないし。今里新地や歌舞伎町でお酒を飲んだ記憶ばかり。

印象に残っているのは十数年前、済州島の旅に誘っていただいたこと。済州島はカンジェオンさんの故郷。親類の方の車で町の市場、旧日本軍の特攻艇「回天」が基地にした洞窟、民俗村、海女の村、琉球の御嶽のような本郷堂(ポンヒャンダン)などを案内していただいた。いつも穏やかなカンさんだけど、故郷の空気を吸ってカンさんはひときわくつろいで見えた。

同じテーブルに座った教え子の方々の話では、若い研究者の仕事をほめ、発表する媒体を紹介し、優れた先生だったとのこと。東アジア近代史のなかでの朝鮮半島の位置と独自性を明らかにしたカンジェオンさんの仕事を、もう一度ちゃんと読んでみたい。


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March 21, 2018

『ハッピーエンド』 ブルジョア一族の腐臭

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Happy End(viewing film)

ミヒャエル・ハネケ監督の映画には映画音楽がいっさい使われない。音楽が流れるのは、物語のなかで出てくるときだけ。それだけに、数少ないその音楽が印象に残る。『ハッピーエンド(原題:Happy End)』では2カ所。一度目は北フランスのカレーで建設業を営むブルジョア一家、ロラン家の三代目ピエール(フランツ・ロゴフスキ)が密室のクラブでストリート・パフォーマーみたいな歌とダンスを披露する場面。遊び仲間らしき何人かが彼の歌を聴いている。会社の重役になっていながら仕事を放棄したピエールの反抗とやけっぱちが露出する。

もう一度は引退したジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)の誕生日を祝う自邸でのパーティで、女性チェリストが披露するチェロ。ざわざわと感情を乱す一節が弾かれる短いショット。このチェリストとジョルジュの息子トマ(マチュー・カソヴィッツ)は愛人関係にあり、チャットでわいせつな会話を交わしているのを、前妻との間の子供で13歳になるエヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン)に覗き見されてしまう。その後の波乱を予感させる音。

ハネケ監督の映画がいつもクールで、対象を冷たく見つめている印象を与えるのは、見る者の感情をかきたてる映画音楽を使わないこと、カメラも移動やズームの動きが少なく据えっぱなしの長回しが多いことに依っているだろう。一方、物語を語る口調は説明なしに断片を放り出すことが多く、見る者はしばらく人間関係や全体の構図がわからない。そこからミステリアスな緊張が生まれる。

大家族が住む邸宅で一家の夕食シーンがある。引退して認知症気味のジョルジュは背広にネクタイを締めている。会社を切りまわしているのはジョルジュの娘アンヌ(イザベル・ユペール)。ハネケ監督の前作『愛 アムール』といい『エル』といい、クールでやり手のブルジョア階級というイザベル・ユペールにうってつけの役どころ。アンヌとアンヌと出来の悪い息子ピエールが口喧嘩をしている。ジョルジュの息子で家業を継がず医者として働くトマと新妻は黙ってナイフとフォークを動かしている。格式ばってはいるが、家族としての一体感や愛はまったく感じられない。トマは前妻の入院で一人になった娘のエヴを引き取り、孫娘がジョルジュを長とする一家の食事の席に加わることになる。

ジョルジュは自殺未遂と疑われる交通事故を起こす。車椅子になったジョルジュは、出入りの床屋に銃を手に入れてくれと頼む。アンヌは会社の顧問弁護士と愛人関係にある。ピエールは家を出て、放蕩の生活を送っている。トマは新妻との間に子供が生まれたばかりなのに、女性チェリストとサドマゾ的な愛人関係にある。

でもこの映画でいちばん得体が知れないのは、13歳の可愛いエヴだ。映画の冒頭、スマホの動画が映し出される。エヴが母親を撮ったもの。彼女は母親に大量の抗うつ剤を与えて昏倒、死亡させる。エヴがやったことは誰にも気づかれず、彼女はロラン家に引き取られる。邸宅のなかで孤独なエヴは、やはり孤独なジョルジュと会話する。ジョルジュは、かつて介護していた妻に手をかけたことをエヴに語る。映画の最後、海辺のレストランでのアンヌと顧問弁護士の婚約パーティの席で、ジョルジュはエヴに車椅子を押させて海辺に出る。ジョルジュは波打ち際まで車椅子を寄せさせる。ジョルジュが車椅子で海に入っていくのを、エヴは何も言わず離れてスマホで動画に撮っている。

冒頭と対になって13歳のエヴが撮る動画が海の光にあふれ美しく、それだけに入水するジョルジュと、それをスマホに収めるエヴの孤独と酷薄さを際立たせる。エヴにとって生の現実よりスマホ画面を通した画像のほうが、彼女の氷の心にリアルなのだろう。

舞台になるカレーは数年前、イギリスに渡ろうとする中東やアフリカからの難民が集まりカレー・ジャングルと呼ばれるキャンプができてニュースになった。この映画でも、邸宅にモロッコ人夫婦が下働きとして住込み、建設現場では移民が働いていたり、パーティ会場にピエールが難民を引きつれ乱入するといったかたちで姿を見せる。ハネケはそれを正面から取り上げることはしないけれど、こうしたヨーロッパの現実を踏まえてこのブルジョアジー一家の腐臭を描いている。それが「ハッピーエンド」と(なぜか英語の)タイトルをつけられているところにハネケの辛辣なメッセージを見る。


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March 19, 2018

グレゴリ青山『コンパス綺譚』を読む

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グレゴリ青山『コンパス綺譚』(亀鳴屋)の感想をブック・ナビにアップしました。


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