渡辺貞夫75周年記念コンサート
渡辺貞夫がデビュー75年を記念して全国でコンサートを開いている。この日は東京の第一生命ホール(6月5日)。18歳でプロとして演奏を始めて75年。93歳になるが休憩をはさんで2時間、ステージに立ったまま一度も引っ込まず吹きつづけた。年齢を重ねた管楽器奏者は音が小さく、弱くなりがちだけど、若いころの音とまったく変わらない。バックは小野塚晃(p)、三嶋大輝(b)、竹村一哲(ds)の若いトリオ。
前半は自らの歩んだ道を振り返るような、正統派ジャズ。2曲目はチャールス・ミンガス作曲の「ノスタルジア・イン・タイムズスクエア」。1962年に渡米したとき、すぐに連れていかれたジャズクラブにミンガスが出ていた。そこに飛び入りし、演奏したのがこの曲、と。いきなり出会ったのがミンガスだったのか。あるいは、この曲が好きだったといって演奏したのがフランク・シナトラの曲。ほかに「ステラ・バイ・スターライト」なんかも。目をつぶってバラードの柔らかな音色に耳を傾けていると、過去に彼の演奏を聞いたいろんな場面が思い出される。
渡辺貞夫を初めて聞いたのは1968年だった。大塚のジャズギャラリー8。ボサノバやバップ曲の合間に、短くビートルズの「イエスタデイ」をソロで吹いたのが忘れられない。菊地雅章(p)、稲葉国光(b)、渡辺文雄(ds)のバックだった。
後半は渡辺が大きな影響を受けたアントニオ・カルロス・ジョビンの曲と、アフリカのテイストも多い自作の曲。ヒット曲である「カリフォルニア・シャワー」や「モーニング・アイランド」をいつ演るのかと思っていたら、遂に吹かず。この歳でなお現役でありつづける姿勢を見た。最後は彼の原点を確認するようにビバップふうな曲。アンコールはピアノとのデュオでさらりと。
こっちも80歳近い高齢者で彼を聞く最後になるかもしれないと思ったら、渡辺貞夫のアルトがいっそう切なく聞こえました。











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