June 06, 2026

渡辺貞夫75周年記念コンサート

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渡辺貞夫がデビュー75年を記念して全国でコンサートを開いている。この日は東京の第一生命ホール(6月5日)。18歳でプロとして演奏を始めて75年。93歳になるが休憩をはさんで2時間、ステージに立ったまま一度も引っ込まず吹きつづけた。年齢を重ねた管楽器奏者は音が小さく、弱くなりがちだけど、若いころの音とまったく変わらない。バックは小野塚晃(p)、三嶋大輝(b)、竹村一哲(ds)の若いトリオ。

前半は自らの歩んだ道を振り返るような、正統派ジャズ。2曲目はチャールス・ミンガス作曲の「ノスタルジア・イン・タイムズスクエア」。1962年に渡米したとき、すぐに連れていかれたジャズクラブにミンガスが出ていた。そこに飛び入りし、演奏したのがこの曲、と。いきなり出会ったのがミンガスだったのか。あるいは、この曲が好きだったといって演奏したのがフランク・シナトラの曲。ほかに「ステラ・バイ・スターライト」なんかも。目をつぶってバラードの柔らかな音色に耳を傾けていると、過去に彼の演奏を聞いたいろんな場面が思い出される。

渡辺貞夫を初めて聞いたのは1968年だった。大塚のジャズギャラリー8。ボサノバやバップ曲の合間に、短くビートルズの「イエスタデイ」をソロで吹いたのが忘れられない。菊地雅章(p)、稲葉国光(b)、渡辺文雄(ds)のバックだった。

後半は渡辺が大きな影響を受けたアントニオ・カルロス・ジョビンの曲と、アフリカのテイストも多い自作の曲。ヒット曲である「カリフォルニア・シャワー」や「モーニング・アイランド」をいつ演るのかと思っていたら、遂に吹かず。この歳でなお現役でありつづける姿勢を見た。最後は彼の原点を確認するようにビバップふうな曲。アンコールはピアノとのデュオでさらりと。

こっちも80歳近い高齢者で彼を聞く最後になるかもしれないと思ったら、渡辺貞夫のアルトがいっそう切なく聞こえました。

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May 31, 2026

「密やかな美 小村雪岱のすべて」展

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「密やかな美 小村雪岱のすべて」展(~6月7日、千葉市美術館)へ。

 小村雪岱(こむら・せったい)は明治から昭和初期に活躍した日本画家。日本画・版画だけでなく、書籍の装幀家、挿絵画家、舞台装置家でもあった。当時は画家というより泉鏡花の小説『日本橋』の装幀で名を知られ、邦枝完二の連載小説『お傳地獄』挿画などで評判を取った。雪岱の魅力を一言で言えば、モダンなデザイン感覚あふれた日本画、だろうか。

好きなのは版画。単純な構図に切り詰めた静かな明治の風景は見飽きない。美人画は鈴木春信を現代的にしたような。小生、元単行本編集者ということもあり、鏡花の『日本橋』や『星の歌舞伎』の装幀・見返しには惚れ惚れする。こんな単行本つくってみたいものだ。連載小説の挿画は、凸版印刷術の発達もあり、単純な線と大胆な墨と白の対比を生かして見事。画家というより、メディアの特質を自分の表現にとりこんだ仕事に雪岱の本領があったんだろうな。

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May 30, 2026

国会前集会

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国会前の「せんそうさせない緊急アクション」へ。約1万人(主催者発表)が思い思いのプラカードやペンライトを持って集まってきた。若い人や女性が多い。we want our futureという市民グループが主催し、全国151会場で集会が開かれたそうだ。僕もJohn & Yokoの「WAR IS OVER IF YOU WANT IT」の小さなプラカードとペンライトを持って、若い人の中にもぐりこむ。発言も演説調でなく、多くは普通の喋り口調。ラップのリズムに乗ったコールでは「ナフサの不足は 政治の不足」なんてのもあった。

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May 28, 2026

梅仕事の日

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今日は一日、梅仕事で過ごした。梅ジャムと梅の蜂蜜漬け。2週間前にわが家で収穫した梅の実で蜂蜜漬けを仕込んだ。なので、買ってきた梅の7割ほどをジャムに、3割ほどを蜂蜜漬けの第2弾に。梅雨明けには蜂蜜漬けができあがるだろう。

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May 22, 2026

『霧のごとく』

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台湾映画『霧のごとく(原題:大濛)』は不思議な感触の、でもとてもよく出来た、楽しめる映画だった。

1953年、戒厳令下の台湾・嘉儀。阿月<アグエー>(ケイトリン・ファン)は反政府の罪で逮捕された兄が処刑されたと知らされ、遺体を引き取りに台北へ行く。右も左も分からない彼女をだまそうとした男から阿月を救ったのは輪タク運転手の公道<ゴンダオ>(ウィル・オー)。公道は元国民党軍兵士で広東出身、蒋介石に従って大陸からやってきた。公道の元上官がスパイの疑いをかけられたことから、公道も公安につきまとわれている。兄の遺体を引き取るにも金がかかり、その金のない阿月と、彼女を助けようとする公道が金を工面しようと動き回り、騒動に巻き込まれ……。

台湾の戒厳令はホウ・シャオシェン監督が『悲情城市』で描いた2.28事件をきっかけに、大陸から台湾に渡ってきた国民党政府によって布かれ、1987年に解除されるまで50年近く続いた。嘉儀に住む本省人(台湾ネイティブ)である阿月の兄は学生で、仲間と反政府的な行動を起こしたため警察に追われる身となっていた。一方、この時代、公道のように国民党兵士として台湾に来た者の多くは、除隊後も台湾に残って外省人と呼ばれた。大陸の家族と離れ離れになった彼らは政府からも冷遇され、老いて、一人で、貧しくなった者も多いと言われる。

……と、物語とその背景を語ると重たい社会派映画と誤解されるかもしれない。これが違うんですね。外省人の青年と本省人の少女が台北のあちこちを駆け回るのが、ユーモアたっぷり、1950年代のノスタルジックな町を舞台にしたエンタテインメントに仕立てられている。2人が賭博場に行ってすっからかんになったり、歌手・ダンサーになっている阿月の姉を訪ねて舞台のショーを見たり。場面転換では必ず音楽が挿入されて、ミュージカルふうな雰囲気もある(歌い出しはしないが)。公道を追う公安が絡んで殺人事件も起きる。人情ものの気配もある。そしてなにより、戒厳令下で犠牲になった阿月の兄のような無名の死者を悼む寓話が披露される。映画の体温が暖かい。

ラストシーンは戒厳令解除後。ほろりとさせられ、笑いました。

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May 20, 2026

『破壊系資本主義』

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クィン・スロボディアン『破壊系資本主義』(みすず書房)の感想をブック・ナビにアップしました。

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May 13, 2026

『シンプル・アクシデント│偶然』

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『シンプル・アクシデント│偶然』は、2度にわたって投獄され、映画製作と外国への渡航を禁止されているイランの映画監督、ジャファル・パナヒ監督の新作。当然、無許可で撮影されているけれど、これが素晴らしい。強権的な政治体制の下で市民が味わっているだろう恐怖と、その裏返しの憎悪が、見る者にひりひりとその皮膚感覚まで伝わってくる。

反体制的と見なされ投獄されたことのある職人のワヒド(ワヒド・モバシェリ)が、偶然に車の故障に居合わせたことから、車を運転していた義足の男(エブラヒム・アジジ)がかつて自分を尋問・拷問した看守ではないかと直感する。燃え上がった復讐心で男を拉致するが、砂漠へ生き埋めにしようとしたところで、当時、目隠しされ男の顔を見ていないことから、本当に自分を拷問した男なのか疑念が生ずる。確証を得ようと同じく投獄された仲間たちを訪ねるのだが、それぞれに普通の市民生活を送っている彼らの思いがもつれあって……。

ワヒドは、成り行きから男の出産直前だった妻の入院費用を立て替えてしまうお人好し。ワヒドが最初に相談する知的な友人は、「彼らと同じ人殺しに成り下がるのか」と諫める。女性カメラマンとして働くシヴァは、「私はやっと日常を取り戻したんだ」と協力を拒む。シヴァの元恋人の男は、「俺が吐かせて、こいつの息の根を止める」とわめきちらす。シヴァの妹で結婚式を控えたゴリも、「あいつに人生を滅茶苦茶にされた」と男を追及する。ゴリの結婚相手であるアリは、「忘れろ。深みにはまってみんな沈むぞ」と傍観する。

登場人物の思いが交錯し、互いに矛盾するそれぞれの思いに「そうだよなあ」と共感を感じてしまう。ひとりひとりが丁寧に描写されているからだろう。そんななかで、ふっとユーモラスなショットがあったり、ひと気ない暗い高地から遥か遠くに輝く町の灯りのショットが素晴らしい。重いテーマでありながらサスペンス映画としても楽しめる。町なかのショットが多く車のなかから撮られているのは、撮影を気づかれないためだろう。この作品はカンヌはじめ色んな映画祭で受賞しているが、昨年12月、イランの裁判所は監督に三たび懲役1年の刑と2年の渡航禁止を言い渡したという。 

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May 06, 2026

梅の収穫

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今年は梅がよく出来た。いつものように蜂蜜漬けにするか、ジャムをつくるか。いずれにしてもこれだけでは足らないので、買い足して作業しよう。

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May 05, 2026

『LOST LAND/ロストランド』

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『LOST LAND/ロストランド』は、ミャンマーで迫害されているロヒンギャ族がバングラデシュ、タイ、マレーシアと安住の地を求めて密航する旅の映画。劇映画ではあるけれど、綿密な取材と、演ずるのはすべてロヒンギャ難民、現地での撮影と、ドキュメンタリー的な要素をたくさん持ち、そこから生まれるリアリティに息をのむ。なにより主役である9歳のソミーラ、5歳のシャフィの姉弟(実際に難民の姉妹)が素晴らしい。演じているとは思えない自然さで笑い、遊び、歩き、逃げ、見つめる。その瞳の力が心に残る。彼らが旅する海や雲や稲妻、マレー半島の緑も生々しい。夜のショットは余分な照明を使ってないのだろう、何かが動いてるのが分かるだけの暗闇で、これもまた印象的。

バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプから、姉弟とその叔母が密航業者に金を払って家族のいるマレーシアを目指す。小さな船でベンガル湾を南下し、タイ南部に上陸して陸路マレーシアに入るルート。海上で嵐に見舞われ、上陸時に巡視船に見つかり、国境の金網を突破したところで警備兵に発砲される。更なる金を要求され密航業者に監禁されたり、殺される者もいる。一行は散り散りになり、姉弟は二人きりになる。とはいえ二人が遊ぶショットが何度も挿入される。かくれんぼや「だるまさん転んだ」の、僕らが子供の頃やったのと同じ遊び。それが冒頭、旅の途中、ラストシーンと出てきて映画の芯になっている。難民可哀そう、という映画になっていないのは、そんな視線があるからだろう。

脚本・監督・編集を務めた藤元明緒を中心に、スタッフは日本、マレーシア、ヨーロッパ、資本は日本、マレーシア、ドイツ、フランスとボーダーレス。映画の中身も、製作のあり方も、これからこういう映画が増えていくんだろうな。

 

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April 26, 2026

秩父宮ラグビー場

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ラグビー・リーグワンの東芝ブレイブルーパス東京vs横浜キヤノン・イーグルス戦へ(4月25日、秩父宮ラグビー場)。リーグワンも終盤だが、2連覇中のブレイブルーパスは今季、調子が上がらず、プレーオフに進出できるかどうか微妙な順位。今日も下位に低迷するイーグルスに圧倒されて負けた。同行の友人はブレイブルーパスのファンで、がっくり。ブレイブルーパスの10番モウンガ(NZ代表)、イーグルスの9番デ・クラーク(南ア代表)は来年のワールドカップを控え今季限りで退団するので、これが見納めになるか。とはいえリーグワンには他にも南半球から世界トップクラスの選手が何人も来ていて、彼らを見ているだけでも楽しい。

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«「ひらけ、絵手本 『北斎漫画』」展